人物考察スペシャル

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  2.ミレディー   



何でこの順番なんですか?

ということなんですが……。


「アニメ三銃士」のストーリー構成だけを考えるのなら
第1話でミレディーと出会い、第52話でミレディーとの死別する、
最初と最後に、宿敵との出会いと別れを持ってきているわけですよね。

そう、だからこれはダルタニャンとミレディーの物語と言ってもよいかもしれません。
言ってよいのか?


アスリート並みの体力と、宰相に陰謀を囁ける知力、
園遊会をまとめあげた企画力に、そして川の底からでも海の中からでも生還する生命力、 そして様々な国家的スパイとの人脈力。
あらゆる面で卓越した技量を持ち、
また、どんな局面におかれても、髪の毛一本乱さず、時には余裕の高笑いすら浮かべながら、エレガントにあらわれる。
原作者デュマよりもはるかに、制作者にリスペクトされ、愛情をもって作られたのが
アニメのミレディーさんです。

原作では、どうしてダルタニャンだけなく、三銃士たちがそろいもそろって、
年上の人妻とばかり不倫関係になるのか?という疑問、ありませんでしたか。
むかし騎士道恋愛というものがあって、
若い騎士は、自分より身分の高い年上の貴婦人を
一方的に追いかけ、一方的に尽くし、一方的な愛を捧げ、
それによって社会を知り、出世の糸口を得るのが、ひとつの恋愛の理想形だったそうです。
だから原作ダルタニャンとミレディーや、ダルタニャンとボナシュー婦人も
ひとつの騎士道恋愛のパターンだと私は思ってます。

さらにまた、追う男と追われる女、というのは、

ハンターと獲物


人間というか動物のとっても原始的な本能に近い、スリリングな状況です。
だから、ミレディーとダルタニャンの間には、
単純に敵同士で反目しあう間柄だけではない、
何だかそこに、火花のような運命的な吸引力がはたらくんですね。
……と思います。


第2話で、ミレディーはパリに出てきた彼と一緒に並んで座って話を聞いてあげます。
トレヴィル隊長よりも、ずっと彼の才能と可能性に目をかけていました。
第31話で、今度は ミレディーはひざまずいてダルタニャンに自分の身の上話をすることになります。
ダルタニャンは、ただの政敵だけでない、人間としての過去を認めて、彼女を逃がします。そのお返しとして最終話で、彼女は自分は逃げずにダルタニャンを逃 がすのです。
お互いに破滅に追い込みながら、手を差し伸べあったりもする。
光が影によって際立つように、ダルタニャンを主人公としてクローズアップしたときに、
ミレディーはバランスをとるかの如く対極に置かれる存在です。
鉄仮面編以降は、リシュリューは第三勢力になり、極が複数に分散されるから、
どちらかというと群像劇に近くなると思います。
ああ、また熱く語ってしまったわ……



さて、ミレディーさんですが、
結構男性の好みが露骨に距離感に出るんですね。


【おもねりたい】
リシュリュー、ルイ十三世

【お近づきになってもいいかも】
ダルタニャン、鉄仮面

【利用できればそれでいいわ】
バッキンガム公爵 フィリップ

【はっきりいって対象外】
ロシュフォール、ジュサック

上昇志向の強い男性が好みとお見受けしましたが、
では、この人はどうなんでしょう。

強くて権力があるのに、アニメ本編では一度も絡みがなかった、



トレヴィル隊長。



実際に絡んだらどういう反応を示すのか、ちょっと興味しんしんです。



二次創作においては……。
ミレディーを書くことはおそらくないでしょう。これは私なりのリスペクト。
でも、主人公を際立たせるのに、対置する敵役に重きを置くというのは
ひとつのセオリーとして学びました。でもそれ以降の続編の二次創作では
お約束の宿敵がいなくなるから、物語全体のバランスが崩れるのですね。
ミレディーの後釜となるべき敵役は原作もそれ以降現れず、
難しいところです。
強いていうのなら、第3部のアラミスが、それに近い
宿命の対決相手でしょうか。


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