人物考察スペシャル

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  7. ポルトス  

25年たって、ようやく時代が彼に追いついた。

今でさえ、弁当男子やもこみち君が市民権を得ているのですけど、


25年前は 
単なる大食い

にしか見えなかったことが返す返す残念です。

ポルトスは食いしん坊だなあ
と子供の頃思ってました。

でも、ようやく気が付いた。
彼のこだわりは


量より質。


であることに。

それでそういう男子が市民権を得て生息している社会があることに。
「マンマが作るティラミスは最高。生地は絶対バリッラ社のもの以外認めないっ」
「パニーノのパンは絶対に表面をフライパンで焼かなくちゃおいしくないっ」

ラテン社会には、恐るべきこだわりをもって、毎日の3度のメシに対峙する男どもがいることに。
そうして、
私ははじめてポルトスという男を理解するに至ったのでした。

そういえばデュマも相当な食道楽だったようで、
彼の渾身の『料理大事典』は、図書館では
小説コーナーじゃなくて、食文化コーナーにありました。
もう、こっちの方が本業?と思うほど
フランスの様々な地方の名産物とその食べ方、調理法、
そしてその歴史に至るまで、随所にうんちくがちりばめられていました。
カエルのフリットなるものもあったんですけどね。
その食材と調理法のバリエーションは驚くべきものがあります。
冷蔵庫もない時代、今のような流通網もなく馬車と鉄道の時代にですよ……。
「人が生きるのは、食べるものによってでなく、消化したものによってである」
と妙に哲学的な巻頭の言葉には、考えさせるものがあります。

アニメのポルトスは始終何かを食べています。
そしてそのおかげで太っていることをからかわれていたりしますが、
おそらく、彼の身の回りについているものは
贅肉ではなくて
筋肉なのでしょう。

そして、またの名を


最終破壊兵器。


と呼び
いつも、ピンチになると、決まってポルトスが
扉を突き破って現れます。彼の破壊力の前では、どんなこじれた乱闘も
力づくで解決されてしまいます。


だったら、最初からポルトス使えばいいじゃん……。

でも、そうしたら、他の二人に見せ場がなくなります。

原作のポルトスは、やや虚栄心が強くおつむの弱い人として
描かれていますが、それを補ってあまりあるほどの、
純粋な人間です。
アトスのような筋道でもないし、ダルタニャンのような勘でもない、
人間のハートの部分でものを考えて生きているから、
人の差し出す真心の、ウソとホントを見分けることができるんですね。
だから、何も考えていないようで、彼のとる選択が、実は一番まっとうだったりします。

二次創作を書くときは……
ポルトスの食への固執は、作者の食への固執の投影。
ええ、私も食いもんへの執着強いです。
ですから、ポルトスの食い物ネタは今後も尽きませんっっ!

ポルトスを主人公にしたら、フードファイト系のストーリーもできそうですね。
たとえば、ポルトスがその味覚で難事件を解決していくとか……。
あるいは毎回挑戦者が現れてお料理対決とか……。


誰が読むんだろう……。
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